2022-11-03から1日間の記事一覧

小説 万延1860 ~海を渡ったサムライたち~ その29

安政七年一月五日、出帆の日が近づいているというのに、勝は自宅で高熱をだして床に入っていた。年明け早々風邪をこじらせてしまったのだ。お民が部屋に入り「木村様が見舞いに来た」と伝えると、勝は死んだように寝ている。少し薄目をあけて、そうかいと言…